太陽になれなかった木星

jupiter

木星 wikipedia より掲載。右下部の赤い部分が赤班です。また、左下部の黒点は、木星の衛星の影です。

木星は太陽系惑星の中で最も大きな惑星で、直径は地球の11倍です。大きさ以外で、地球と大きく異なるのは、木星はガスで出来ており地球のような岩石はありません。ですので木星の上を歩くことも、家を建てることもできません。

ガスのおおよその成分は水素(90%)とヘリウム(10%)です。これは太陽もほぼも同じです。というか宇宙の星は水素とヘリウムからできています。

このことから、木星はもしかしたら太陽(自ら光を放つ恒星)になれたかも知れないと、言われ続けて来ました。でもなれませんでした。その理由は木星の重さ(質量)です。太陽の直径は木星の10倍です。逆に木星の直径は太陽の 1/10 しかありません。物体の質量は直径の3乗に比例しますから、木星の質量は太陽の1/1000(0.1%)しかありません。星が光り輝く恒星になるためには、太陽質量の8%程度は必要と言われていますので、もし木星の質量が80倍程であったら恒星(太陽)になっていたかも知れません。

質量が大きいと、ガスの重さで、内部の圧力が高くなり、核融合反応が起こる程にまで温度が上昇します。水素やヘリウムは軽いと侮ってはいけません。木星のガス層の厚さは5,000km程と考えられており、その気圧は10kgほどだそうです。ちなみに地球の大気層は100km程で、その気圧は1kg(1,000ヘクトパスカル)です。

地球では、赤道付近を東風(貿易風)が、中緯度地帯では西風(ジェット気流)が吹いていますが、木星の場合は複雑で西風と東風とが何層かに別れているそうです。しかも、地球の11倍の大きさの木星が10時間で一回転(自転)していますので、赤道付近では、秒速約100mの西風が吹き緯度が高くなると東風と西風が交互に吹いていると考えられています。これが上の写真に見られるような木星の縞模様の原因です。

また木星の特徴の一つである表面に見える大きな赤班は、地球が2個並ぶほどの大きさで、周囲より温度が低く、上昇気流が起きている領域であることが、アメリカの探査機パイオニア10号の観測で分かっています。要するに地球で言う台風です。この台風、地球の場合は発生から消滅まで2週間ほどであるのに対して、木星の場合は、この赤班が約350年前に見つかってから今日まで続いています。その理由はよく分かっていません。

ということで、木星の姿を紹介しました。実は今話題になっているのは、木星の衛星(地球の場合は月)です。次回はその衛星について書いてみたいと思います。

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コメント

コメント一覧 (1件)

  • 宇宙の話は知らないことばかりで面白いですね。
    木星に岩石がないなど、知りませんでした。