四国八十八箇所バスツアー

四国のお遍路さんは、古来よりの修行としての遍路、そして現世や来世の利益を期待した遍路に加え、現代は自分探しの遍路や観光の一環であるといった、ひと様々なとらえ方の旅になっています。

今年は、空海(弘法大師)が四国を巡錫したとされる年を起点に1200年目にあたることから、普段非公開で秘仏とされている本尊の公開など、開創1200年の記念事業が行われています。この機会に今年は四国遍路を、と考えている方がたくさんおられるようです。小樽からだと、四国八十八箇所を巡るのは大変ですが、京阪神からは日帰りツアーなどで計画的に巡ることができます。

実は2年前に発心?し、約1年かけて四国八十八箇所を巡りました。日頃から信仰心が厚いわけでもなく、元首相が四国の遍路をしているという話を聞いたときも、また友人が四国遍路を徒歩で結願成就したとの話を聞いたときも特に心が動かされることはありませんでした。2年前の閏年に、「閏年の逆打ちは、ご利益が大きい!! 四国遍路に行きましょう!!」というバスツアーの広告を見かけました。宗派に制約はないとのことですし、高齢者の仲間入り間近でもあり、四国の旅行も悪くはなかろうと思い、発心した次第です。

旅行会社の観光バスによる四国八十八箇所遍路の旅は、毎月一回、約一年間で八十八箇所を巡り、最後は高野山へ詣でて満願成就のご報告をするという計画です。初回は低料金でしかも参拝に必要なお経の教本、納め札、蝋燭、線香などが配布され、始め易いツアーになっています。また、バスの添乗員の他に先達さんが付いて、参拝するお寺の説明や参拝の仕方、お経の唱え方など教えて頂けます。さらに、納経帳や掛軸や白衣などへの墨書、朱印をいただく納経は、先達さんに連れられてお寺を参拝している間に添乗員がしてくれるという手間がかからない仕組みになっています。とても気楽な巡礼の旅でした。初回の参拝が終わると2回目以降の日程が旅行会社から案内されますので、都合のいい日を申し込めばツアーのバス遍路を続けることができます。京阪神から近い四国とはいえ、お寺は離れたところにあったりして、日帰りの日程だけでは一年で巡ることは難しく、12日のコースが何度か混じっていました。

「閏年の逆打ち」については、衛門三郎が悔い改めてお大師様(弘法大師)に会いたいと遍路をしたところ、一番札所から番号順に回る「順打ち」ではお大師様と出会えず、八十八番札所から逆順に回る「逆打ち」することによって出会えたとされる言い伝えや、閏年に逆打ちを行うと倍の御利益があるとする考えがあり、閏年の逆打ちのニーズの高さに目をつけた旅行会社が逆打ちツアーを企画したものでした。2年前の2012年にそれにまんまと載せられたのですが、こちらとしても心地よく八十八箇所を巡ることができました。

何も知らずに参加した遍路も、何度か回を重ね、先達さんに合わせて集団で読経することで、気恥ずかしさも消え、また、ひと月ごとに移ろう季節を肌で感じ、四季折々の参詣道や境内の雰囲気を楽しんでいる間に、何時しか「般若心経」の言葉にも馴染んできました。そして、心が静穏になるように感じました。1月からスタートしましたので、一年後寒い高野山に雪を踏みしめ詣でて満願成就のご報告が出来ました。

 今は整備された道路やケーブルカー、ロープウェーなどがありますが、わらじ履きで遍路道を歩いて巡った昔は、修行に相応しいことだったろうと思います。古い歴史のあるお寺と遍路の文化は今後も是非残していくべきで、弘法大師の心を伝えるこの八十八箇所の遍路を世界遺産に登録して欲しいと願う一人になっております。

miki-2014-06-24

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コメント

コメント一覧 (1件)

  • 今まで何回も、お遍路さんの話は聞いてきましたが、特に何も感じませんでしたが、三木さんのお話を読ませていただいて、お遍路さんの意味が少しわかったような気がいたしました。
     世界遺産に登録は、私も賛成です。