新しき明日の小樽を

 

新しき明の小樽

ロシア語の太いひびきに振り向けば坂道の果て冬の海あり、

筆者・詠・小樽にて、

北海道には幾つかの研究課題を持っているのでよく訊ねていく。その一つに「北海道と円空」があり、訪ねる季節はきまって酷寒の二月であった。その帰途、小樽に寄って数日滞在していた。

外国生活の体験から、知らない町を覚えるには、わざと迷いながら、てくてく歩いて行くのがいちばんいい。小樽でもそうしている。

地獄坂の途中にあるカトリック富岡教会は何度も訪ねて行った。深い雪に埋もれた教会を眺めていると、ロシアでの日々が甦ってくる。

そのあと、船見坂を上っていくと、よくロシア人のマドロスと出会った。船見坂から見下ろす小樽港の光景を眺めながら、粉雪の舞う坂道を降りていくと、三角市場(公園)があり、雪の上にズワイガニが山と積まれている。売り手のおばさん達との会話を楽しみながら、大きいズワイガニを買って内地の友人達に送っている。


私は小樽石川啄木会々員なので、総会に時々出席している。そこでの持論は、小樽運河の河川敷に石川節子(啄木夫人)の彫像を建立することを以前から呼び掛けている。台座には、子を負ひて雪の吹き入る停車場に、われ見送りし妻の眉かな”

と啄木の詩歌を刻むこと等、デザインまで描いていた。

数年前、国際石川啄木学会の総会が札幌で開催されたとき、その記念としてJR小樽駅すぐ横にある三角公園に立派な啄木の石碑が建立された。石碑の表には、“子を負いて雪の吹き入る~~~”が刻まれた。裏には建立協力者の名前が刻まれている。その中に私の名前も刻まれている。


小樽には日本の歴史と重なる多様な歴史遺産がある。小樽をこよなく愛する者として、以前より思っているのは、さらなる“新しい明日の小樽を創る”こと。そのひとつに、小樽市が現在進めている観光の国際化を、さらに視野をユーラシアにまで広げた「小樽を国境の街、(ヨーロッパ各地にある自由都市)」に発展させていく、など、限りなき多彩な小樽の未来図である。

村岡信明(美術家・美術評論家)

風花の舞う小樽運河 、Oil on canvas 40.9×31.8

風花の舞う小樽運河 、Oil on canvas 40.9×31.8

 

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コメント一覧 (1件)

  • 本ブログを、小樽市産業港湾部観光振興室、小樽観光協会等へも「ご参考までに...」とお送りしました。両者からはそれぞれ御礼のメールを頂きましたが、その一つをご紹介させていただきます。
    以下お礼のメール
    「4月の観光説明会の際には関西小樽会の皆様に大変お
    世話になりました。
    また、このたびはご連絡ありがとうございました。
    小樽観光はアジア諸国の外国人の伸びが追い風となり、
    大震災後順調に回復してまいりましたが、
    まだまだ課題も多く、国内の旅行需要が頭打ち状態の
    中で地域間競争に勝ち抜くべく、さまざまな努力を続
    けておりますが、皆様のご支援、そして何よりも気に
    かけてくださっているという事実が大変励みになります。
    今後ともどうぞよろしくお願いいたします。」