私は年に数度、兵庫県佐用町にある「西はりま天文台」の観望会に参加しています。「西はりま天文台」は元々兵庫県の施設だったのですが、数年前から兵庫県立大学の天文科学センターの付属施設になりました。ここの望遠鏡は、現在、日本で最大の口径2mの反射望遠鏡です。来年になると岡山県で建設中の京都大学の望遠鏡にトップの座を譲ることになりますが、「星を目で直接見ることができる望遠鏡として、日本はおろか世界最大の望遠鏡」です。しかも常時、一般公開の「観望会」を行っている天文台は少ないです。
以前は望遠鏡は目で覗くものでした。天文(宇宙や星)の研究者は、夜間望遠鏡を「覗いて」いると思われがちですが、今は直接星を覗いてみる望遠鏡はありません。人間の代わりにデジカメの親分みたいな「CCDカメラ」が取り付けられ、メモリーに記憶させ、翌朝以降の日中にメモリーのデータを研究の対象にしています。もちろん夜間にデータをいち早く見ることもありますが、我々が想像するような、夜昼逆の生活ではありません。
西はりま天文台の望遠鏡は「なゆた」というニックネームがついています。「なゆた」とは古代サンスクリット語で「きわめて大きな数」を意味する数詞であると説明されています。普通10の60乗、つまり1,10,100・・・と数えて行って1に0が60個つく数字です。
なゆた望遠鏡で見る星の、人気第一位は「土星」です。これはどこの天文台でも同じだそうです。「土星の環」は一度見たら、もう忘れられません。ジョークですが、大の大人が思わず「ワッ(輪ッ)」と言って驚くそうです。環の正体は、その殆どが大きさ数ミクロンから数メートルサイズの氷の塊です。土星は太陽の周りを約30年かけて廻っています。地球の北極・南極の軸(地軸)が天の北極から少し傾いているのと同じように、土星の軸も太陽を中心として回転する平面の軸に対して少し傾いています。このため、土星を見る時期によって環の上側、あるいは下側が見えます。このため「環の消失」と言う珍現象が起こります。
帽子のツバを上から下に見て行くと、途中でツバの縁が見えます。これと同じで、土星の環も上から下(あるいは下から上)に見える途中で環の縁が見える状態になるのですが、環が非常に薄いため「消失した」ようになるのです。どれくらい薄いかと言うと、土星の環の直径が約30万kmに対し、厚さはたかだか1kmです。30万分の1なのです。手元にA4サイズの用紙がありますが、その長辺が30cmです。この30万分の1と言うと1ミクロンです。こんな薄い紙を真横から見ると・・・
私は星を見るのも好きですが、宇宙の色々な現象に興味があります。最近、米国をはじめ各国が宇宙観測用の人口衛星を打ち上げ、多くの新発見がなされています。関西小樽会の話題にはそぐわないかも知れませんが、このブログ上で星や宇宙のことを書かせてもらいたいと思っています。
下は、西はりま天文台の「なゆた望遠鏡」のエンクロージャーです。天文台と言えば、普通お椀を伏せたような円形ドームなんですが、なゆた望遠鏡は円筒形の中に納まっています。
西はりま天文台のより詳しい情報は、以下のWEBサイトからご覧ください。
コメント
コメント一覧 (1件)
専門外ではありますが、私も宇宙、★、地球は大好きです。今火星が大接近中ですね。21:30頃から南東の空に火星と木星が見えるようです。西はりまには、私も是非行ってみたいと思っています。
昨年は、野辺山の電波望遠鏡を見てきました。5月17日には、神岡のスーパーカミオカンデとKAGRAを見せていただきました。昨年9月に、LIGOに先を越されたとはいえ、東大宇宙線研の研究者たちは、本格運転に向け張り切っておられました。施設は驚嘆物の連続でした。
三上さんの、宇宙に関する記事を楽しみにしています。