お寺とオカネにまつわる報道

 道野です。高橋さんのご依頼により、久々に投稿させていただきます。

 さて、私は僧侶でもあるのですが、いつでも苦々しく思っているのは、マスコミが寺や宗教を扱う場合、「坊主丸儲け」的な、カネとの関係についてばかりです。例えば、葬式の際にお布施を100万円包んだのに、「まだ足りない、極楽往生はできませんよ」と言われたとか、そんなマイナスの話ばかりです。ちなみに、100万円ももらえるような葬式に出会ったことは、私はまだ一度もありません。真宗はリーズナブルです。これ、ほんと。

 もしかすると多くの方がご覧になったかもしれませんが(私は残念ながら観れなかったのですが)、NHKのクローズアップ現代で、追跡 “出家詐欺” ~狙われる宗教法人~というタイトルでお寺がとりあげられていました。これまた、仏教を不正のネタに儲けを企む連中の話のようですが、警鐘を鳴らすという意味では、良い番組だったかと思います。ちなみに、小樽ご出身で、フリーの僧侶でありかつ精力的にお寺の未来について活動を続けておられる松本紹圭さんが、お寺の未来をみるというタイトルで番組内容をまとめておられます。ご参考になさってください。

 大阪に、秋田光彦さんという名物住職がおられます。この方がFBでも書いておられたのですが、大阪は寺の数が愛知県に次いで2番目に多い。しかし、観光寺院、メガ寺院は少なく、むしろ中小の「まちのお寺」が大多数です。自坊・超願寺も、難波元町に土着の小さなお寺です。

 大阪の寺院は、(組織は大事ですが)組織にしばられず、自由に活動してきた伝統のおかげか、いろんな活動をしておられる方がいます。先の秋田さんの言を借りれば、「(前略)そういった様々が素地となって、異能の仏教者が登場するのである。一々名前は挙げないが、バーを始めた僧侶、ホームレス支援の僧侶、ビハーラ活動や国際協力や、私が見て来たこの30年くらいを鳥瞰しても、「オモロイ坊さん」は圧倒的に大阪に多い。(後略)」単に法要だけを営んで高い布施を吹っかけるのではなく、社会にいい影響を与える活動をしようと努力している僧侶も少なくないのです。

 二足のわらじの一足目の宣伝になってしまいましたが、何はともあれ、変な詐欺にお遭いにならないようになさっていただきたいのと、本当の仏教は、金儲けではないということをご理解いただければと思います。もっとも、霞(かすみ)を食って生きていくわけにはいきませんし、衣装も安いものではありませんので、お布施はいただきます(笑)

(補足:5月17日)
 先の出家詐欺に関するクローズアップ現代の番組内容ですが、出家詐欺に一般市民が巻き込まれるというよりも、出家詐欺に、経営難に陥っているあるいは住職や檀家総代のいない寺が狙われているというのが、本筋でした。そのような中で、寺というものの信頼度がますます低下しているわけです。でも、それではだめだ、もっと寺が本来の役割に立ち戻らねばならない、というのが結論でした。

 松本さんがまとめられているサイトから、番組の最終的な結論部分について、引用しておきます。

**********
 そして最後に、中島教授からのメッセージとして、

「これからは日本人の心の中に仏教に対する帰依しようという気持ちが私はあると思うんですね。
仏像の前に手を合わせるという習慣もありますしね。
そういう習慣が残っているうちに、お寺がもっと信者さんたちに働きかけて、
国民の宗教心を高めてほしいと思います。
それが本来の役割だと、私は思います。」
と述べられます。

アナウンサーもそれに応じて、
「仏教の教えを伝える、ということに立ち返るということですね」
とコメント。

中島教授の
「今、チャンスじゃないかとも思いますね」
という前向きな言葉で、番組が終わりました。
**********

この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (3件)

  • 興味深いお寺の情報、ブラックボックスの中をのぞき見したいですね。寺院の金銭思想は宗派、地域等により違いはあると思います。本来の「お布施」を念頭におき、寺院のあり方を考えていただきたいですね。ちなみに私の実家は余市の寺です。

  • 私は、今までお寺が一番多いのは京都で、二番目は奈良だろうとなんとなく思っていました。一番が愛知で二番が大阪とは驚きです。
     ともあれ、我々も親が亡くなったり、お墓や仏壇の問題に直面したり、なによりも己自身が、解決のできない、仕方がないで済まさねばならないことが多くなりつつある作今、宗教とか、お寺は身近な存在なのかなと思いました。

  •  高橋さん、コメントありがとうございます。
     愛知が多い理由はわかりませんが、大阪が多いのは政策的に寺が集められたからだろうと思います。もっとも、コンビニよりも数が多いと言われる寺ですが、そのウラで多くの無住の寺があります。この業界も、他の業界同様、大変です。
     寺のあり方は、今後もずっと考えていかねばならないと思っております。時代の変化に即応したものだけが生き残る。諸行無常は寺にとっても当然の摂理です。