妻と小樽

 この度2度目の投稿をさせて頂きます糠塚と申します。

 前回はNHKの朝ドラで余市を舞台とした「マッサン」がスタートするところでしたので、私のふるさとについてお話しました。今度は今、住んでいる神戸が舞台の「べっぴんさん」が放映中ですので、それにかけて・・と考えておりましたら、妻も関西転勤でいろいろな想いがあったとの事でしたので、バトンを渡してみたいと思います。 

 皆さんこんにちは。
私と家族が北海道から関西に移り住むようになって、丸10年が経とうとしています。かつて、あたりまえ過ぎて見えにくかったものが、そうなって(転勤して)初めて、いきいきとした輪郭を現し始めたのです。温かな人がいるわが故郷への思いを胸に、今は家族4人で遠く離れた西の地で暮らしています。神戸に住むようになって感じたことといえば、朝陽の昇るのが遅く、夕日が西の空に長くあるということ。日本の中では、東側に位置する北海道、そんなことも実感をもって知ったのです。

 道北の旭川という町で生まれ育った私は、嫁いだ先の母が小樽出身であったということ。更には、義父の故郷が余市であり(以下文中、父、母とする)、毎年のお盆の時期には、家族みんなでお寺やお墓にお参りをします。小樽を抜けて余市へ、そしてまた小樽を通って札幌へ帰る。午前中早くに出かけて、お昼は余市か小樽で食事をする。美味しいお寿司を食べるということもありましたけれど、ある時期からは小樽市内にある和食の「なると」に行くのが楽しみとなっていました。若鶏の半身揚げが有名です。

 小樽という町は、港町特有の西洋の文化の匂いと、海や山があり食べ物が美味しく、歴史的建造物が旧き良き時代の風情を保っている。そんな印象を子どもの頃から持っていたように思います。そして母の出身が小樽であったということ。小樽の存在は、憧れの町というだけではなく、縁のある町として、私の中に位置づけられたのです。物腰の柔らかさ、その内に秘める芯の強さ。小樽の町の持つ個性は大好きで尊敬する母自身と重なります。

 神戸に住んで数年経った頃、県立美術館で、ある一枚の絵に出合いました。たしか昭和50年代の頃の小樽の町を俯瞰して描かれたものだったという記憶です。雪が降り積もった冬の寒い日、上空から見下ろしたその景色は、素朴な気候風土に育まれた人々の姿を思い起こさせました。絵の上方には海が見え、下方ぎりぎりのところに山があり、地図のようになっている中央部分には町の日常がある。
小樽の町を知っていなければ描けない、そんなことを感じたのです。
その絵の前にじっと佇めば、ずっとそこに居たいような懐かしくて温かい、でもどこか寂しさもある冬の港町の絵なのです。ここ数年は展示されなくなり、今となっては作家の名前も絵のタイトルも忘れてしまいました。

 北海道と言えば、切り離しては考えられないのが雪との関係です。神戸に住んで残念なのは雪に出合えないことです。雪があれば、道は閉ざされ、吹雪に視界は奪われ、歩くことも難しい、寒さから身を守る、色々な側面があるにしても、雪がしんしんと降り積もった時の静けさや、澄んだ星空、凛とした強さ美しさも合わせて実感できるという素晴らしさもあります。自然への畏怖なる思いを持って育つのが北国生まれの人々です。四季の移ろいが鮮やかな自然と厳しさは隣り合わせている。そのぎりぎりのところに一瞬の輝きを見る。美しい自然を近くに感じることができるのも北海道だと思います。

 今では、私たちが住む神戸も大好きな街となりました。住む人々は瀬戸内の気候のように朗らかで明るく親切です。海と山に挟まれた地形はいつも懐かしく安心感を与えてくれています。こうして北海道を想い、小樽という町を思いながら書かせていただけば、縁というものは、また不思議な縁を運んでくる。同じ場所で生まれ育ち、生きてきた人たちが、また違う土地で出逢う。どこかきっと共通する思いに支えられながら、昔を振り返る。
生きて行くことの面白さ、そしてふつふつと湧いてくる感謝の思いと共に、新年を迎えております。 

 以上となります。
2人の娘もすっかり神戸っ子。家族も仲良くやっています。そして今年も私の夢である、関西と北海道をつなげる仕事の醸成に向け日々精進していきます。

                          糠塚 淳 三輪                                 

 

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コメント

コメント一覧 (1件)

  • ご主人の糠塚さまには小樽、余市というご縁で、仕事でもお世話になっておりますが、こうして初めて、奥さまの小樽への想いをお聴かせいただき感動いたしております。
    かつて、私は国際線のパーサーをしておりました。その際には、外地へ行くと日本の素晴らしさを実感致しておりましたが、故郷を離れると故郷の素晴らしさを懐かしさと共にひしひしと感じます。
    今日は大阪でも雪が降っていますが、小樽では比較にならないほど、雪が降っているのだろうなぁ・・・と想いを馳せておりました。
    お時間の都合がつきましたら、ご夫妻で小樽会へご参加くださいませ。7月の総会では「潮おどり」を全員で舞いますよ!!